Rashi Gupta 著
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、世界の医薬品およびバイオテクノロジーのサプライチェーンに内在するリスクと脆弱性を浮き彫りにしました。しかし、これは今に始まったことではありません。以前からこれらのサプライチェーンは、スピード、柔軟性、俊敏性、冗長性、多様性の面で他業界に遅れをとっていました。
パンデミック中の供給不足を受けてリスクへの懸念が高まる中、米国政府は「コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)」や、バイデン大統領の行政命令(EO)を受けた「医薬品およびAPIサプライチェーンの見直し」といった介入を通じて、医薬品サプライチェーンの強靭化に向けた対策を講じています。
続いてJeremy Friedler氏は、パンデミック以前にバイオ医薬品サプライチェーンに影響を与えたさまざまな政府介入について振り返りました。同氏は、バイオ医薬品のサプライチェーンおよび製造リスク管理に関する政府の介入は、決して新しい概念ではないと強調しました。
2020年CARES法:本法には、将来の医薬品不足を防止することを目的とした複数の条項が含まれています。これは従来の法律を基盤として強化したもので、以下に関連する新たな要件が盛り込まれています。
バイデン政権による100日間のサプライチェーン見直し報告書 (2021年6月発表):この調査結果では、医薬品およびAPIのサプライチェーンのレジリエンスを強化するための、広範なリスク管理の推奨事項が示されました。これには以下が含まれます。
クリス・シルバ氏(Akebia Therapeutics社 調達・戦略的ソーシング担当バイスプレジデント)および マット・コフリン氏(Omega Therapeutics社 サプライチェーン担当ディレクター)が、新興バイオ医薬品企業がどのようにこれらの新たな要件を取り入れ、レジリエンス(回復力)とサプライヤーのリスク管理能力を強化しているかについて議論しました。
両パネリストは、「事業規模」が企業のリスクプロファイルを構成する重要な要素であると説明しました。規模はリスク許容度やリスク評価基準に影響を与えます。大手企業は、地政学的な緊張などの要因を考慮してリスク軽減戦略を策定・実行しています。一方、新興企業や中堅企業は、CARES法が施行される前は、リスク管理をコスト対効果の分析や主要なステークホルダーの懸念に対処するための戦略的判断と見なしていました。しかし今後は、適切なリスク軽減戦略を早期に確実に実施するため、包括的なリスク評価が不可欠となっています。
特定のサプライヤーへの過度な依存に伴う混乱リスクを回避するため、両パネリストは、認定・検証済みのCMOを活用し、バランスの取れた柔軟で俊敏なサプライチェーンを構築することを推奨しました。これにより、cGMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)に基づいた「生産シェア」の分散が可能になります。この戦略には、各サプライヤーへの発注量や数量に上限を設けることも含まれます。さらに、企業はCMO間で「生産シェア」戦略を実施する前に、サプライヤーの交渉可能な実務上の生産能力を評価する必要があります。最も重要なのは、サプライヤーの冗長化戦略の一環として、同等の能力を持つ代替サプライヤーを選定することです。これにより、サプライヤーの変更や混乱が生じた場合でも、能力や生産量の大きな欠落を防ぐことができます。これは、新興企業であっても、必要な製造ネットワークの柔軟性を確保するために有効です。
BCDR計画の細部における粒度、リスク分析の深さ、そして日々の業務全体への影響を考慮することが極めて重要です。さらに、サプライヤーが策定したBCDR計画に対して、上級管理職や経営層によるスポンサーシップ(支援)が必要です。また、混乱や逆境に対して迅速な対応を可能にするために、サプライヤーの社内外のコミュニケーションおよびガバナンス体制がどのように設計されているかを理解することも重要です。
パネリストによると、新興企業におけるサプライヤーリスク評価は、徐々に範囲が広がり、詳細なものになっています。これは、調達・選定プロセス全体の一部として、新規のサプライチェーンや製造サプライヤーを評価する際に特に顕著です。例えば、かつては新興企業にとって重要視されていなかったサプライヤー選定要素(地政学的リスクなど)が、現在では実行可能なものとなり、主要な選定基準となっています。
さらに、サプライヤーのリスクプロファイルを経営層と内部で整合させることへの注力も高まっています。これは、より広範なエンタープライズリスク管理(ERM)およびサプライヤー関係管理(SRM)のガバナンスとポリシーの一環です。その結果、サプライヤーリスク管理プロセスの文書化やリスク軽減戦略の正式な開示には、経営層の承認が必要となっています。これは、サプライヤーとの契約締結や開始の前に、サプライチェーンリスクの影響を理解することを意味します。また、将来的なサプライヤー関連の不可抗力事態を未然に防ぐための軽減策としても機能します。
本イベントでは、CARES法の規定および「100日サプライチェーンレビュー」の結果を受け、新興企業・既存企業を問わず、すべてのバイオ医薬品企業が社内外のサプライチェーンおよびサプライヤーリスクを策定、あるいは再評価すべきであることが強調されました。また、事業継続計画、災害復旧計画、リスク軽減計画(社内外双方)を新規作成または見直す時期でもあります。パネリストは、サプライチェーンおよび製造の冗長化に向けたリスク軽減計画の策定と実行は、もはや選択肢ではなく、必須事項であるという点で合意しました。かつては理論上のものと考えられていたサプライチェーンリスクが、今や指数関数的に一般的になっているためです。
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